研究概要 |
本年度は,研究の最終年にあたり,1年目の研究成果である,実験により得られた等価ばね定数と粘性減衰係数で表される弾性変形復元モーメントと粘性減衰モーメントとの和からなるモーメントをヒンジ部に作用するモーメントとして,理論解析式を構築し,パンタグラフ機構の動的理論解析を行うとともに,出力節先端の動的変位誤差を実験により明らかにしている.この際,非線形弾性変形復元トルクおよび2連節間の相対角速度に比例する粘性減衰トルク(粘性減衰係数は実験より求めた2.7×10^<-6>N・m・sを用いた)の和として与えている. まず,パンタグラフ機構の対偶部における大変形ヒンジが大変形した時に生じるトルクを,FEMにより解析を行っている.これにより,ヒンジ部の角変位とトルクとの関係を明らかにしている.ついで,FEMを用いてパンタグラフ機構のモデル化を行い,モード特性を明らかにしている.つぎに,マルチボディシステム(以下MBSと呼ぶ)解析により,パンタグラフ機構のモデル化を行い,機構の静・動特性に関する理論解析を行い,FEMおよびMBSが,機構の静・動特性を解析する上で有用であることを確認している.具体的には,固有振動数およびモード形状を明らかにするとともに,大変形ヒンジ部の作用力とモーメントを明らかにし,想定する駆動周波数領域では共振の影響を大きく受けないことを示している.さらに,異なる二つの入力変位に対して,出力点がコの字形の軌跡を描く際の出力点の静的および動的出力変位誤差を明らかにしている.
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