研究概要 |
スカラー量の移動画像から流速を求める流速測定法の有効性と精度を検証するために,大規模渦を伴う非燃焼水素/窒素同軸噴流を対象とした数値シミュレーションにより直接得られる速度ベクトルと,それと同じ流れ場に形成される濃度むらおよび粒子むらの移動量を相互相関法から求める速度ベクトルとの対比として比較検討を行った. 計算方法としては,スカラー量のむらを与えるために水素分子をH_2A・H_2Bの2つに区別する.流れ場に渦が形成される任意時刻にH_2AとH_2Bの割合を計算領域上で周期的に変化させて濃度むらを生成した.このとき,H_2A・H_2BはH_2と化学的性質は全く同じものとしているため,密度変化なく計算領域全体に制御可能なむらを与えることを可能にしている.相互相関ピーク位置をサブピクセルで求める際にはそのピーク位置周りの相関係数からの内挿を考慮した.得られた結果は以下のとおりである。 渦の大きさより,濃度むらの大きさの方が小さい場合には,相互相関のマトリクスを濃度むらのスケールと同程度に設定し,濃度むらの相互相関係数に基づく速度ベクトルが直接計算により求める速度ベクトルと比較的一致する結果を得ることができた.しかし,渦の大きさより濃度むらが大きくなる場合には渦内部などで両者はほとんど一致しなくなる.また,濃度むらの空間的スケールを十分に小さく与えた場合には計算による速度ベクトルと精度よく一致した.しかし,時間が経過すると濃度消散の影響のために,濃度むらのスケールが大きくなり計算による速度ベクトルとの一致は悪くなる.十分な数密度の粒子が存在する場合には粒子むらによる相互相関係数に基づく速度ベクトルは計算ベクトルとよく一致することが分かった.
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