研究概要 |
マイクロデバイス技術の展開にはナノスケールでの熱流体流動構造の解析が必要であり,これに対応した高空間分解能を有する計測技術の確立が急務である.本研究では定量的な知見を組織的に収集するために,極めて細い毛細管内の電気泳動を対象として波長オーダーの粒子でもトレースが可能な誘起発光粒子の発光体トレース法を開発適用して粒子画像流速計(PIV/PTV)などマイクロスコープイメージング技術としてこれを発展させた. マイクロスケール熱移動過程の測定として,蛍光強度の温度依存性を用いたマイクロ温度計測法の開発を目指す.蛍光体にはRu(bpy)やRhodamine-B等の温度依存性を有する蛍光色素を用いる.励起光は現有の高輝度水銀ランプおよび新規購入のYAGレーザを用いた.光源に水銀ランプを用いる場合は波長フィルタにより蛍光体の温度依存性の強い励起波長を選択的に取り出し,機械式シャッターを用いパルス光とし蛍光体に照射した.画像の撮影には光学顕微鏡に高解像度CCDカメラを設置し,それぞれ励起光強度,蛍光発光強度を独立して計測する事により5x5μmの空間分解能で0.26Kの温度分解能の計測が可能となり,マイクロチャンネル内で混合する高温と低温の流体の,対流および伝導による熱流束の定量的な評価を行うことができた. 一方,速度場の計測に関しては,サブミクロンの蛍光粒子をトレーサー粒子に用いると,粒子のブラウン運動により,ランダムな乱れが計測され,流体運動が正確に測定できない問題があったが,本年度は,これらを解決する新しい手法を確立した.すなわち,従来では時間平均を用いてブランウン運動の除去を行ってきたが,これでは変動する流れに適応できない.そこで,新たに,粒子が数個から10個程度存在する空間内で平均化することにより,ブランウン運動の影響が除去できる手法の有効性が確認された.
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