ローレンツ力を利用したセルフベアリングモータの実用化に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13555059
• 研究機関: 茨城大学
• 研究代表者: 岡田 養二 茨城大学, 工学部, 教授 (90007774)
• 研究分担者: 上野 哲 弘前大学, 理工学部, 助手 (40322929) ; 松田 健一 茨城大学, 工学部, 助手 (30302326) ; 近藤 良 茨城大学, 工学部, 助教授 (90186867) ; 阿部 恵輔 千葉精密, 開発部, 主任研究員 ; 金箱 秀樹 三協精機, 要素技術センター, 主任研究員
• キーワード: 磁気浮上 / 交流モータ / 磁気軸受 / 高速回転体 / デジタル制御 / アクチュエータ

研究概要

モータと磁気軸受を一体化するセルフベアリングモータは、回転磁界の大きさを変調する理論が広く知られている。しかし永久磁石型にこれを適用すると、浮上・回転の性能と製造技術に困難を伴う。これを解決すべく、ローレンツ力を利用するセルフベアリングモータを提案し、いままでに原理確認の実験に成功した。
強力で製造が容易なローレンツ型浮上モータは、円筒型のモータで実現できる。昨年度円筒型に拡張し、強力なセルフベアリングモータが実現できた。本年度、さらに強力で浮上と回転が独立に制御できるように、巻き線構造に工夫を凝らした。その結果、ラジアル方向の磁気支持特性は安定であり、最高回転5,5OOrpmまで浮上回転に成功した。この試験結果は、いくつかの論文にまとめ発表した。
近年、小型の浮上回転スピンドルを開発してほしいという要求が強くなった。これにはアウターロータ型のセルフベアリングモータが適する。しかし通常の面着磁永久磁石を使うと、磁束分布が階段的になってしまうこと、分厚いバックヨークが必要で、重く大きくなってしまう欠点がある。永久磁石配列にハルバッハ磁石を使うと、この問題を一気に解決できる。しかも磁束分布は正弦波状に近づき、理想的な特性を発揮できる。本年度ハルバッハ磁石をロータに適用し、解析通りの特性を得ている。
セルフセンシング技術に関しては、いくつかの方式に関して実験を開始した。シミュレーションを行ったところ良好な結果を得ているが、まだ実験ではそれほどの結果を得ていない。
実用化に関しては、超小型ターポ真空ポンプや、回転型人工心臓で製品化のための試作を開始した。製品化した場合の技術的な問題点など、基礎的なデータを収集している。

研究成果

• [文献書誌] W.S.Han, C.W.Lee, Y.Okada: "Design and Control of a Disk-Type Integrated Motor-Bearing System"IEEE/ASME Transactions on Mechatronics. Vol.7,No.1. 15-22 (2002)
• [文献書誌] 森 亮, 松田健一, 金箱秀樹, 岡田養二: "マルチポールセルフベアリングモータの開発"日本機械学会論文集. 68巻668号C編. 1185-1190 (2002)
• [文献書誌] 岡田養二: "磁気軸受の最近の研究と応用動向"日本応用磁気学会誌. 26巻10号. 1041-1046 (2002)
• [文献書誌] 栗田伸幸, 松田健一, 岡田養二: "ローレンツ力を用いた磁気軸受の開発"日本AEM学会誌. 10巻3号. 314-319 (2002)
• [文献書誌] T.Tokumoto, H.Kanebako, K.Matsuda, Y.Okada, D.Timms: "Development of Lorentz Force Type Self-Bearing Motor"Proc. of 8th Int. Symp. on Magnetic Bearings. 59-64 (2002)
• [文献書誌] 徳元隆人, 金箱秀樹, 上野哲, 岡田養二: "ローレンツ型セルフベアリングモータのスロット有無による特性"日本機械学会論文集. 68巻674号C編. 2992-2998 (2002)
• [文献書誌] 岡田養二, 渡辺嘉二郎: "メカトロニクスと制御工学"養賢堂. 265 (2003)