研究概要 |
開発する除振装置の機構設計や制御系の最適化について,提案する方式が最も効果的であると予測される鉛直方向の除振に焦点を絞って検討するために,3自由度アクティブ除振装置を試作し,実験的検討を行った. (1)3自由度アクティブ除振装置の設計・試作……試作した装置は,除振テーブル,中間台,中間台を支持するばね,ベースから構成し,中間台には除振テーブルを磁気浮上支持するための電磁石及び変位センサを取付けた.除振テーブルの電磁石の吸引力が作用する箇所は,強磁性体にゼロパワー浮上用の永久磁石を組込んだ構造とした.また,共振を抑制するため,ばねと並列にダンパー用の電磁石を設置した. 開発する除振装置では,中間台の質量を大きくすると振動絶縁特性が向上し,ゼロパワー制御系も設計しやすくなるが,反面,装置全体の質量が増大してしまう.本研究では,中間台質量の振動絶縁特性および除振性能に対する影響を調べるため,中間台の質量を変えられるようにした.また,現状の除振装置では,除振テーブル上に搭載された機器の移動が引き起こす除振テーブルの揺れが大きな問題となっている.このような直動外乱に対する制振性能を調べるため,試作する装置の除振テーブル上には,XYステージを搭載した. (2)ゼロパワー制御系の設計……中間台から除振テーブルを支持する磁気浮上機構の制御系設計を行った.制御系は,定常的なコイル電流が零に収束するというゼロパワー特性を実現するとともに,過渡状態においても十分な制振性能を持つように,極配置法を用いて設計した. (3)除振性能評価……(2)で設計した制御系を実現し,地動外乱に対する振動絶縁特性や,直動外乱に対する制振性能を評価した.また,ダンパの減衰係数などの大きさが除振性能に対する影響を評価した.
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