研究概要 |
機械装置細部の振動挙動の精密かつ高速測定の要求が高まり,多次元の振動変位を高精度に実時間で測定可能な次世代レーザ干渉計の開発が強く望まれている.そこで本研究では,4開口法レーザスペックル干渉計に2次元フーリエ変換を行うアナログ電子回路を組合せた新しい実時間2次元面内振動測定機の開発を目的とし,本年度はまず,4開ロ法レーザスペックル干渉計を試作して,相関法による干渉像変位検出法を用いて2次元面内変位の測定実験を行って精度を検証するとともに,2次元フーリエ変換による干渉像変位検出の理論解析と基礎実験を行った.得られた主な結果は以下のとおりである. (1)4開口法レーザスペックル干渉計の設計・試作 被測定体からのレーザ散乱反射光を4開口板を通して集光して得られる格子状干渉像をCCDエリアセンサで検出する4開口法レーザスペックル干渉計を設計・試作し,干渉像のコンピュータ収録に成功した. (2)2次元面内変位測定実験と精度評価 精密圧電ステージにより2次元変位を与えて,相関法による干渉像検出を用いた2次元変位の測定実験を行い,測定範囲±20μmで誤差5μmの測定が可能なこと,開口径は精度に依存しないこと,試料変位に伴う干渉像変形が誤差に大ぎく影響することを明らかにした。 (3)干渉像の2次元フーリエ変換の理論解析 4開口法レーザスペックル干渉像の光強度分布の理論解析を行い,その2次元フーリエ変換を求めた結果,各軸の干渉縞周期の整数倍の分析区間における干渉縞周波数の2倍の空間周波数の位相スペクトルが干渉像変位に比例することを示し,高速測定の可能性を示した. (4)2次元フーリエ変換を用いた基礎実験 試作干渉計に2次元フーリエ変換による干渉像検出を用いて2次元面内変位の測定実験を行い,相関法と同等の測定精度を有すること,演算時間が1/200以下になることが確認された.
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