研究概要 |
まず,極低温用変位センサの試作・検討を行った。試作の第1段階では,積層鋼板を10枚程度重ねて電磁石構造を作製した。この電磁石に線径0.3mmの導線を用いて励磁用1次側コイルと誘導電圧検出用2次側コイルを巻き付けた。空気中における変位センサの特性を評価・検討した。評価としては,1次側コイルの励磁電流に対して2次側コイルの出力(誘導)電圧をオシロスコープにより確認した。このとき,1次側コイルの励磁電流と2次側コイルの誘導電圧の位相のずれがないこと,および誘導電圧波形の歪みが無いことを確認した。さらに1次側電圧と誘導電圧の差を用いて位相検波を行い,変位信号としての精度を確認した。その結果,±1mmの範囲で変位測定が可能であることが分かった。第2段階として,磁束線の磁路を考慮した電磁石構造を用いて変位センサを構成し,評価・検討した。電磁石の磁路の検討法として有限要素法による汎用磁場解析ソフトを用いた。 次に、先の試作評価した変位センサの励磁周波数について評価・検討した。先ず,実績のある周波数17kHz,33kHzを用いて変位センサとしての評価・検討を空気中で行った。本研究では磁気軸受1つにつき2個の変位センサが必要であるから,合計4個試作した。これら4個の変位センサの精度がほぼ等しくなるよう周波数設定する必要がある。また,変位センサの感度を同じになるよう調整した。 そして上記で試作した変位センサを用いて片持ちロータによる磁気軸受を試作した。ここでは,変位センサと磁気軸受用電磁石との相互の影響に関して評価・検討した。その結果,試作した変位センサは十分機能していることを確認した。
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