研究概要 |
1.新しい基板面外駆動マイクロアクチュエータの考案(担当:秦,市原,下河辺) 今までの薄膜金属ガラスの微細加工,微細成形技術を基に,新しい基板面外駆動マイクロアクチュエータを考案した.具体的には情報関連機器(DVD光ピックアップなど)への応用を念頭に置き,次の基本的仕様を決定した. (1)ストローク:1μm (2)駆動対象物:質量1.5mg,直径1mmのガラスレンズ (3)傾き誤差:0.8°以下 (4)応答周波数:1kHz以上 以上の仕様を満足するために,基板面外駆動マイクロアクチュエータの基本構造を,平行平板型の静電アクチュエータとした. 2.薄膜金属ガラスの物性値測定(担当:秦,市原) 薄膜金属ガラスの物性値(過冷却液体域,熱的安定性,縦弾性係数,引張強度,弾性限界,抵抗率,密度)を測定した.測定の結果,Zr基およびPd基薄膜金属ガラスは,高い弾性限界と引張強度を有し,ばね材として優れていることが明らかとなった.また,本研究で試作する基板面外駆動マイクロアクチュエータの可動電極には,製作プロセス上,耐食性に優れたPd基薄膜金属ガラスを用いることとした. 3.薄膜金属ガラスの内部応力緩和(担当:秦,市原) 高い平面度を要求される可動電極を製作するために,成膜時の内部応力を緩和する必要がある.そこで,成膜した薄膜金属ガラスの内部応力が,過冷却液体域での焼なましによりどのように緩和されていくのかを実験的に明らかとした.その結果,ガラス転移点での焼なましより,Pd基およびZr基薄膜金属ガラスともに,90秒間の加熱保持により,ほぼ完全に内部応力が緩和できることが明らかとなった.
|