研究概要 |
本年度の研究成果は次の通りである。 1.ハイブリッドモデル器による遮断試験 消弧ガスとしてH2およびAirを用いたハイブリッドモデル器において,遮断試験を実施した。本研究では,グリッド型負荷開閉器と気中コンタクタとを直列接続した。モデル器1をH2封入の負荷開閉器と気中コンタクタとによるハイブリッド構成とし,モデル器2をAir封入の負荷開閉器と気中コンタクタとによる同一ガス構成の2遮断点構成として,両者の比較を行った。負荷開閉器における封入ガス圧力は0.1MPaである。負荷開閉器および気中コンタクタに印加される過渡回復電圧の分担比を1:1とした。遮断電流の波高値を280〜1060〜Aの範囲で変化さ,遮断実験を実施した。その結果次の二つのことを明らかにできた。(a)同一ガス(Air)を用いたいモデル器2の遮断能力は600Aであるが,モデル器1の遮断能力は950Aに増加する。(b)モデル器1においては,950A遮断時,熱的遮断能力の低いAirで熱的再発弧が生じ,全過渡回復電圧がH2に印加されているが,H2のほうは熱的に再発弧せず,ハイブリッド器として熱的遮断に成功している。 2.上記の検討とは別に,単独アーク遮断過程そのものの基礎的検討の一つとして,陽極・陰極降下電圧の分離計測手法を提案し,Cu系,Ag系およびW系電極間アークの陽極・陰極降下電圧を明らかにした。 3.限流器と遮断器とのハイブリッド構成に対するシミュレーションも実施し,遮断器に対して電流および電圧の両面からその責務が低減できることを定量的に示し,限流遮断装置設計に対する基礎データが得られた。 4.高温超伝導素子を直並列接続する場合,銀プレートを介して加圧熱処理することにより,接続部の損失を交流損失と同程度に低減するめどがつき,超伝導限流器モデル作成の基礎データを得た。
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