研究概要 |
純電気ブレーキはその第一段階としての,電動車の電気ブレーキを停止まで用いることについては,最初の新京成電鉄に続いて小田急電鉄が新形式車に本格的に採用して,実用化が緒についた段階になった。 電気ブレーキの本来の特長を生かして,ブレーキ中の平均減速度を高めて使うことを行うには,悪粘着条件下での過走確率や,その場合の安全担保策などを系統的・定量的に調べて常用以外のブレーキシステムのあり方と必要な能力および両者の使い分けを明らかにする必要があり,まず,純電気ブレーキシステムの各種構成方式や,制御方式の整理を行うとともに,従来からの粘着データを整理して粘着係数を確率現象として捉え,これを用いたシミュレーションによって安全性と信頼性の必要なレベルを達成する手法を検討している。 確率変数である粘着に関して,ジャーク制御を含めた停止までのブレーキ制御中の最悪のタイミングで発生した滑走に伴うその後の再粘着制御のあり方と,通常は用いない非駆動軸に対する摩擦ブレーキの補足制御を論じることにより,過走の危険性に対する一般的な対処法をまず机上の検討とシミュレーションで開始した。 一方,鉄道車両の速度・位置の検出は,従来は制御性の悪い摩擦ブレーキを対象にしてきたために,パルス数がきわめて少ないロータリーエンコーダを用いてきており,これを一斉に高精度のものに交換することは現実的でないとされている。そこで,パルス数の少ないエンコーダを用いた定点停止精度を調べ,必要な改善のために純電気ブレーキモードでの制御装置を組み込んで確率的粘着現象に起因する滑走等を再現し,得られる速度・位置情報を用いた制御の高性能化を図って安全性・信頼性をどこまで向上させることが可能かを論じる試験に着手した。 本格的な発表はまだ行う段階ではないが,考え方や周辺の改善などな関する発表を11項に示すように進めている。
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