研究概要 |
本研究は、本研究代表者らが発明・開発した超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術を人工水晶の結晶育成評価技術の確立、高精度な音響物理定数の決定、デバイス基板の評価法の確立に適用し、世界の人工水晶関連産業・科学分野における「新たな目標とスタンダード」を与えることを目指して行ったものである。 平成14年度の研究成果を要約すると以下の通りである。 1.LFB超音波材料解析(LFB-UMC)システムを用いた圧電材料の音響関連物理定数決定法を検討した。 2.LFB-UMCシステムを高精度に絶対校正するための適切な標準試料の選択法を見出した。その結果、LSAW速度の絶対精度として±0.02%以下にすることができた。 3.LFB超音波材料解析システムを用いて、天然水晶の音響関連物理定数を決定した。 4.異なる育成条件で作成した下記の人工水晶結晶から切り出し・研磨加工を行った試料に対して、バルク波音速、LSAW速度、密度、格子定数を計測し、バルク波音速に対して0.3m/s以内、LSAW速度に対して0.5m/s以内という結晶間のわずかな違いを捉えた。測定結果から、結晶育成条件(育成温度と育成スピード)と音響特性との関係を明らかにし、結晶面や部位による不純物濃度依存性や残留歪みを評価した。 試料1:SAWデバイス用大型単結晶(育成速度大,不純物(Al,Na,Li,OH)濃度大) 試料2:振動子(一般通信機器)用単結晶(育成速度中,不純物(Al,Na,Li,OH)濃度中) 試料3:振動子(高品質通信機器)用単結晶(育成速度小,不純物(Al,Na,Li,OH))濃度小)
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