研究概要 |
光LANや光インターコネクトなどの短距離から都市間までをカバーする低コストな並列光データリンク用光源が必要になると考えられる.特に,光ファイバに適した長波長1.1-1.6μm帯で温度制御装置を必要としない面発光レーザアレイの実現が重要である.本研究では,並列光データリンク用の長波長帯面発光レーザおよびそのアレイ動作を,GaAS基板上材料を用いて実現することを目的としている. 本年は,動作波長の拡大と面発光レーザの特性向上について検討を進めた.1.1-12μm帯に向けた窒素を含まないGaInAs高歪量子井戸の高品質化,窒素を添加したGaInNAsによる1.3μm帯結晶の高品質化,15μm帯に向けたGaInAsSb量子ドットの検討を行い,GaAs基板上での1.1-1.5μm帯発光を可能とする材料の発光効率向上を実現した.また,パターン基板上へ結晶成長することで位置により異なる波長で発振する面発光レーザアレイ,および光励起型により位置変化により連続波長可変となる構造を実現し,光データリンク光源の波長多重化応用の可能性を示した.面発光レーザの単一横モード高出力化について,反射鏡構造で高次モード損失を増加する手法を提案し,理論的にその有効性を示した. 面発光レーザの伝送特性として,高歪GaInAsによる波長1.13μm構造を製作し,140℃までの連続動作と2.5Gbps-10kmの伝送を85℃までエラーフリー動作させ,GaAs基板上面発光レーザの温度制御無しでの高速伝送特性を実現した. 以上より,本年の研究成果として,GaAs上のGaIn(N)As(Sb)系による発光波長の広帯域化および多波長アレイ動作および高速伝送特性の実証を行い,GaAS系面発光レーザの超高速並列光データリンクへの適用性を明らかにした.
|