研究概要 |
本研究では,熱磁気記録MRAMの要素技術として,微細加エアモルファス膜への熱磁気記録,アモルファス膜を用いたTMR膜,MRAMに必須の交換結合二層膜,熱磁気記録方式シミュレーション解析などについて検討した. (1)TbFeアモルファス膜をマグネトロンスパッタ法により作製し,これを集束イオンビームまたは光リソグラフィー法を用いて微小電流パスを作製し,この領域でのジュール熱による熱磁気記録に成功した.熱磁気記録により磁化反転する際に要する電流密度は素子サイズが減少するに従い減少し,0.5μm口の素子で1.6×10^6 A/cm^2と非常に低い電流密度で磁化反転が可能であることを実証した.また,TbFeアモルファス磁性層を用いたトンネル磁気抵抗素子において,十分大きな抵抗変化率が得られることを示した. (2)微細加工したNiFe/MnIr交換結合膜を作製し,その磁区構造を磁気力顕微鏡により観察した.NiFe/MnIrのような面内磁化膜においてはアスペクト比1:1では単磁区化が困難であり,本研究で対象とするような垂直磁化配置の有用性が明らかとなった. (3)熱磁気記録方式のシミュレーションを行い,100nm以下の微小磁区を形成するために必要な媒体定数を定量的に求めた.TbリッチのTbFeCo膜においては50nm以下の微小磁区を形成するためには膜の微細構造を制御するなどにより,現状の保磁力を更に大きくする必要があることが分かった.
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