研究分担者 |
藤森 敬和 ローム(株), 半導体デバイス研究開発部, 研究員
藤沢 浩訓 姫路工業大学, 工学研究科, 助手 (30285340)
丹生 博彦 姫路工業大学, 工学研究科, 教授 (40047618)
門倉 秀公 (株)高純度化学研究所, ファインケミカル部, 研究員
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研究概要 |
本年度に得られた研究成果(1-3)と研究成果の総括(4)を以下に示す. 1.液体Ir原料(Ir(EtCp)(cod))を用いたIr系薄膜のMOCVD成長においてインキュベーションタイム(原料ガス導入から基板上に実際に薄膜が堆積し始めるまでの時間)の基板温度依存性と成長初期の核発生の様子を調べた.基板温度300℃以下では,最長30分のインキュベーションタイムが観察されたが,成長初期の核発生密度が150μm^<-2>以上と高いために,微細なグレインからなる緻密なIr薄膜が得られた.一方,基板温度350℃以上では,インキュベーションタイムは観察されなかったが,核発生密度が20-30μm^<-2>と低いために,グレインサイズや表面の凹凸が大きくなった.また,紫外光照射を行った場合には,基板温度300℃以下においても原料の分解反応が促進され,インキュベーションタイムが減少し,成長速度が増加した. 2.Ir薄膜をバッファ層とする二段階成長法により,表面平坦性の高いIrO_2電極(自乗平均表面粗さ15nm以下)が得られた.さらにMOCVD法のみによりIr/Pb(Zr,Ti)O_3(PZT)/IrO_2キャパシタを作製することができた. 3.Ir電極及びPZT薄膜の低温MOCVD成長技術を組み合わせ,三次元Ir/PZT/Irキャパシタを全てMOCVD法により400℃以下で形成することができた.上部・下部Ir電極及びPZT薄膜はいずれも80%以上の良好な段差被覆性を示し,平面構造キャパシタと同等の電気的特性(D-E, J-E特性,疲労耐性)が得られた. 4.研究成果の総括 本研究では,MOCVD法のみによる強誘電体キャパシタの低温(400℃以下)形成技術を開発するとともに,当該技術が高集積化に伴う立体構造化への対応と既存のCMOS-LSIプロセスヘの融合が可能であることを実証した.
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