研究概要 |
本研究では,安定性・操作性・再現性に優れ,結晶性に優れた薄膜作製技術であるPLD法をSnO_2薄膜やWO_3薄膜ガスセンサ作製に応用した。さらに,Pd, Pt等の添加,ジエトキジメチルシランによる表面化学改質等を検討することにより,NOxガスや水素ガスに関する感度として100程度(3000ppm)が達成可能であることを実証し,小型で作動温度が低い高選択性・高感度半導体薄膜ガスセンサ作製技術を確立することを目的に研究を行った。その結果、以下のことがわかった。 1)パルスYACレーザ及びKrFエキシマレーザを用いたPLD装置によりSnO_2薄膜やWO_3薄膜を作製した。作製したSnO_2薄膜の微細構造をFE-SEMやAFMで解析し、化学組成や結晶構造をXPSやGXRD等により詳しく調べた。 2)パラジューム(Pd)をSnO_2薄膜に添加(ドープ)するために,スパッタリング法を併用した新しいPLDシステムを用いてPd添加の実験を行った。作製した薄膜のXPS分析の結果,Pdの添加に成功し化学量論的組成のSnO_2薄膜が作製できた。水素ガスに対する最大検出感度はPdスパッタリング電力の上昇に伴い向上することが分かった。 3)WO_3薄膜についてもPd添加の実験を行い、Pd添加に伴いNOxガス検出感度が上昇することが明らかになった。 上記の結果は、我々が新しく開発したPLDシステムにより初めて得られた結果であり,MRS2002,ASIPSやPSE2002等の国際会議や電気学会誌等で発表した。 来年度は本年度できなかった、WO_3薄膜に対するPd, Au等の添加効果の詳細な実験・分析を行っていく予定である。
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