研究課題/領域番号 |
13555100
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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研究分担者 |
オースチン デーヴィッド NTT, 基礎研究所, 研究主任
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
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キーワード | 自己形成InAs量子ドット / 単電子トランジスター / 量子ドット / 擬一次元トランジスタ構造 / 帯電効果 |
研究概要 |
ヘテロ接合量子細線から量子ドットへの電子注入の有力な基本構造の一つとして自然選択ドーピングを用いたラテラルpn接合量子細線および細線上へのドットの埋め込み成長の研究も進めており、これは、ドットへのスピン注入デバイスの基本構造となりうるものであるが、そのラテラルpn接合量子細線の静電気力顕微鏡(EFM)による評価の、測定限界を明らかにする必要があった。ドーピング超格子の壁界面を用いてラテラルドーピング超格子のEFMの測定限界をおよそ200Åと求めるなどナノ構造の作製・観測技術に有用な知見を得た。 自然形成量子ドットを埋め込んだ単電子トランジスタの量子計算機への直接的な応用を考えた場合、チャンネルにスピン偏極した電子を注入する技術が重要となる。強磁性体から半導体へのスピン注入を行わせるために、半導体上に強磁性体のエピタキシャル成長の技術の検討を行った。コンタクト抵抗が低く、チャンネル中電子のスピン制御がしやすいInAs基板に、GaAsと格子マッチングがよいことで知られる鉄(boc)を結晶成長することを試みた。鉄薄膜の結晶性と鉄/半導体間の界面状態との間にトレードオフが存在すること、またスピン注入のためには、基板温度を比較的低温にするとよいことなどが明らかになった。また、半導体(InAs)上に成長した鉄薄膜結晶を細線上に加工することで形状異方性がつけられ、任意の方向に磁化容易軸を設計できることを磁化特性などの評価で確認できた。強磁性体から半導体へのスピン注入が可能であることの証明、およびそのスピン偏極率の評価が重要課題である。我々の選択した鉄薄膜結晶/半導体(InAs)接合を介してp型半導体基板にスピン偏極した電子を注入し、基板のホールとの再結合による発光(エレクトロルミネッセンス)の円偏光を観測した。この結果スピンインジェクターとしての鉄薄膜からインジウム砒素基板へスピン注入ができること、そのスピン偏極率は、約4%であることが明かとなった。来年度は、量子細線上の量子ドットへの電子注入の実現を目指す予定である。
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