研究概要 |
平成13年度の成果として下記のことが行われた。 (1)ポータブルタイプの実用印多重周波数励磁スペクドログラム探査システムを試作した。この仕様はいかのとおりである。8チャンネル12ビットA/Dコンバータ,D/Aコンバータ,位置検知センサー,ノートブック型パソコン(Del,1GHz,512MBメモリー,40GBハードディスク)からなり,コンピュータとの接続はLanNetワークによっておこなわれる。初年度は鉄系の裏側探査を目標に30Hz〜1KHzまでの多重探査方式が取り入れられている。とりわけ実用化の課題であった位置検出にはマウス方式が使用されているため,簡便性は増し,取り扱いやすくなっている。実証研究では5mm厚の構造用鋼飯(SUS)の人工欠陥(0.5mm幅,1mm(20%),2mm(40%),3mm(60%),4mm(80%)深さ)について裏側から検出実験を行い良好な結果が得られた。 (2)更なる探査精度の向上を目指して,新しく周波数変調型多重周波数励磁スペクトログラムを開発することに成功した。この方式は搬送波周波数を数ヘルツに選び10Hz〜300Hzまでの周波数を多重化することにより,従来の方法を上回る精度を得ることができた。さらに搬送波の周浪数を変化させることにより,磁界の浸透をコントロールできる可能性をも見いだしている。またこの手法は新たにウエイブレット変化を適用することができる特徴を有しているため,新たなウエイブレットスペクトログラム法という新しい方式の適用の可能性を示した。 (3)鋼管溶接部の欠陥探査の研究が新たに行われ,この方面におけるスペクトログラム法の効果を見いだした。X線探査結果と比較検討した結果,磁気的性質の変化を敏感にとらえており,複雑な欠陥探査への可能性を示唆する結果を得た。 今後は引き続き,上述の成果を踏まえて詳細を明らかにする予定である。
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