研究分担者 |
伊藤 博 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70274561)
日高 浩一 東京電機大学, 工学部, 助教授 (10321407)
長岩 明弘 (株)東芝, 電力・産業システム技術開発センター, 主務(研究職)
山中 理 (株)東芝, 電力・産業システム技術開発センター, 研究員
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研究概要 |
本年度の研究成果は下記のようにまとめられる. 1.下水処理パイロットプラントにおいて,コントローラを実装可能な状態にするためのセンサーに関する評価を行った.具体的には,オンラインのアンモニア/リン酸センサーの稼動データと複数の時刻サンプル水に対する化学分析データの相関解析を行った.その結果,アンモニアセンサーについては統計的に十分な精度でオンライン計測が可能であることと,リン酸センサーに関しては手分析データと相関の高い期間と低い期間があることが判明した. 2.実プロセスに適用可能なモデルベース制御系のシステム構成の検討を行った.複数のPI制御を含むローカル制御系と,これらのローカル制御系の目標恒を水質モデルを利用して与えるモデルベース監視制御系からなる階層型制御システムの構成の検討を行った.各ローカル制御系のセンサーとアクチュエータの組み合わせ,モデルベース監視制御系の入出力について整理した.これにより,本研究で開発されるコントローラをこの枠組みの中で実装する準備が整った. 3.下水処理プロセスに対する制御方策の開発では,モデルが低次であることが望まれる.特異摂動の理論に沿って低次元化する方法を提案し、生物反応槽と沈殿池に低次元化を施した新しい低次元モデルの開発に成功した.シミュレーションによる比較検討により、得られた低次モデルは下水処理プロセスの動きを十分に表すことができることを明らかにした。 4.時変パラメータの影響を低減するために内部モデルを組み込んだパラメータ調整アルゴリズムの安定余裕と入力信号との関係についての解析結果を導出した。またこの結果の確認のため,シミュレーション実験と検討を行った。 5.下水高度処理システムの設計・管理のためのモデルとして,多くのモデルが提案されているが,制御工学の観点から考察したとき,含まれるパラメータ数が冗長であることが指摘されている.ここではパラメータ感度解析法により精細モデルの主要パラメータを特定し,これに基づく同定アルゴリズムを提案した.晴天・雨天・嵐時における実データを用いて有効性を確認した.
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