研究概要 |
本年度の主な研究実績をまとめると次のようになる. 1.材料の非均質性を考慮した欠陥形状の再構成法への拡張 昨年度の均質体に対する欠陥形状の再構成法に関する基礎的検討を基に,非均質体中を伝播する波動の波速の周波数依存性を形状再構成式に組み込むことにより,非均質体中に存在する欠陥の形状再構成式へと拡張した.ただし,ここでは散乱体間の多重散乱の影響は無視しており,多重散乱効果が卓越する場合は考慮していない.欠陥形状の再構成式において非均質体中の波速の静的極限が必要となるが.これは均質化法により算定した.また,欠陥形状の再構成式は,位相速度の周波数依存性を採り入れた波数と計測角からなる座標系における散乱振幅のフーリエ逆変換の形式に整理された.このため、散乱振幅データを直交座標系に変換することにより,高速化手法が適用可能となる. 2.磁歪センサーと圧電型センサーを利用した欠陥による散乱波形計測 磁歪センサーの広帯域化を図るため,磁歪振動子の後部にダンパーを装着することにより,磁歪振動子の共振を制御することを試みた.この結果,中心周波数100kHz付近における広帯域化が実現され,試作した磁歪センサーは100kHz付近に周波数帯域を有する送信用センサーとして計測に利用可能であることがわかった. 散乱波形の計測用供試体として,セメント材料を基本とする母材中に円形と長方形の欠陥モデルを含む供試体を作成した.この供試体をもとに,磁歪センサーと圧電型センサーを併用して欠陥モデルからの散乱波形を計測し,参照波形を利用して形状再構成式への入力波形となる散乱振幅データを抽出した.
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