研究分担者 |
沖 大幹 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (50221148)
喜連川 優 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40161509)
安岡 善文 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50132866)
鼎 信次郎 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20313108)
仲江川 敏之 気象庁, 気象研究所, 研究員
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研究概要 |
まず、オクラホマメソネット(地上気象観測網)の土壌水分現地観測データを利用し、土壌水分推定アルゴリズムの改良のための検討を行った.1998-1999の2年分のデータを入手し、土壌水分と後方散乱係数の時間変化の位相が良く対応していることが確認された.次に同手法を全世界スケールに展開したが、土壌水分変化に対する後方散乱係数の変化(感度)が観測点ごとに大きく異なっていることが発見された.特にサヘルを中心とした地域が該当地域であった。グローバルな植生・土壌データを入手し検討を行った結果、この主要原因として植生の季節変化振幅の違いが考えられることを発見した。そこで、植生季節変動が衛生観測値に大きな影響を与えない地域に対しては、これまで開発改良してきた能動型センサ(TRMM/PR)のみから土壌水分を推定するアルゴリズムを適用する一方、植生変動の影響が大きい地域に適応可能な受動型センサ併用型アルゴリズムを開発し適用した.また、これまで月あるいは10日平均程度でしか土壌水分の推測ができなかったが、TRMM/PRの多角度入射データを土壌水分量に関して角度補正する手法を開発することによって、日単位の土壌水分を推測することを可能とした。加えて,土壌水分だけでなく植生に付着した雨滴からの散乱により後方散乱係数が影響を受けている可能性があるが、植生付着水についての理論的検討も進めている。 アルゴリズムとしては,理想的な状態下での土壌水分と後方散乱係数を表すIEM(積分方程式法)などの散乱モデルを利用しているが,これまでSAR(合成開口レーダ)で利用されてきた散乱モデルを,入射角や周波数などのシステム構成が異なるTRMM/PRへ利用する際の問題点について,理論面からの検討を行った. また,後方散乱係数から直接推定されるのは,表層の土壌水分量であるが,各種応用のためには,地表面下1mの平均的な土壌水分量が必要である場合もある.そのため,土壌内の水分鉛直移動モデルとの連結により鉛直プロファイルを算定するアルゴリズムを開発を開始した.そのために必要な検証観測データは収集され,マイクロ波モデルはすでに実装されており,現在テストケースのシュミレーションを行っている.
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