研究分担者 |
戸田 任重 信州大学, 理学部, 教授 (60291382)
吉田 敏章 国土交通省国土技術政策総合研究所, 下水道研究部, 研究官
荒巻 俊也 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (90282673)
花里 孝幸 信州大学, 山地水環境教育研究センター, 教授 (60142105)
福島 武彦 筑波大学, 地球科学系, 教授 (90124354)
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研究概要 |
仮想評価法(CVM)やLCAなどの手法を組み合わせ諏訪湖における下水道整備,底泥浚渫,施肥対策,市街地対策について評価を試みた.まず,諏訪湖集水域においてCVMを適用したアンケート調査を行い対策による諏訪湖の水環境改善便益を解析した結果,年間7.3億円となった.一方,対策に伴って発生する副次的な環境負荷に対してLCインベントリー分析を行いCO2排出による地球温暖化の損害費用を算出した結果,最大で年間2,300万円となった.これらの結果から,評価対象の対策は統合的にみて環境改善効果が大きいことが示された. 過去30年間の諏訪湖集水域で人口は微増,家畜飼養頭数では,豚・トリ数は大幅に減少し,牛数も1980年をピークに半減した.農耕地面積も1970年以降2/3まで減少し水田作付け面積の減少はさらに大きい.市街地面積はやや増加し,林野面積はほぼ横ばいである.屎尿由来の窒素負荷は大幅に削減された.諏訪湖への窒素流入負荷は過去30年間で半減した. 環境中での微量化学物質の挙動は健康リスクに影響を与える.そこで,道路近傍で粉塵,多環芳香族炭化水素(PAHs)の浮遊粉塵,降下粉塵中濃度を測定し,通過交通量との関係を解析した.小流域で粉塵,PAHsの降下量と降雨時の流出特性の関係を調査した.広島湾流域を対象に,様々な化学物質の生態系ならびに飲料水としてのリスクを算定し,議論した. 諏訪湖では近年アオコの発生が少なくなり,一方,大発生を繰り返して迷惑害虫となっていたユスリカの現存量が著しく低下していることが明らかとなった.また,漁獲量は最も汚染のひどかった1970年代をピークに減少の一途をたどっていることがわかった.これらの結果から,浅い富栄養湖で浄化を進めると,魚の現存量の減少,湖底に生息するユスリカ幼虫の減少,アオコの減少,水草の増加が誘導されることが示された.
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