研究分担者 |
戸田 任重 信州大学, 理学部, 教授 (60291382)
山縣 弘樹 国土交通省国土技術政策総合研究所, 下水道研究部, 研究官
荒巻 俊也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90282673)
花里 孝幸 信州大学, 山地水環境教育研究センター, 教授 (60142105)
福島 武彦 筑波大学, 地球科学系, 教授 (90124354)
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研究概要 |
「浮遊粒子状物質(SPM)による死亡リスクの低減」,「綾瀬川の水質改善」および「オオタカの保護」について詳細なシナリオを設定し,草加市民に対して選択型コンジョイント分析による調査を行った.草加市民がオオタカ生息数の増加に価値を感じておらず,人間健康の保護,生活環境の保全に比べ,野生生物の保護が重要視されていない結果となり,死亡リスク低減に比べ,水環境改善が高く評価された. 諏訪湖への主要な流入4河川の中では,栄養塩濃度の最も高い宮川において,高頻度の水質観測を実施した.全窒素,全リン濃度ともに,河川流量の増大に伴い増加したが,溶存態の成分には大きな変化はみられず,増水時の濃度増加は,主に懸濁態成分によるものであった.農耕地のような非特定汚染源の場合には,栄養塩負荷のかなりの部分が降水にともなう増水時に発生しており,諏訪湖への栄養塩負荷削減には農耕地からの土壌流出防止などの対策が重要であることが示された. 霞ヶ浦と諏訪湖において,流入負荷,流入河川水質,湖内水質,底質の20-30年スケールでの変化を調査し,相互の関係を解析した.霞ヶ浦と比較して諏訪湖で水質改善がはっきりと見られるのは,ダイバージョンによる負荷削減率が極めて高いのに加えて,堆積速度が大きく,また攪乱が少ないため,底質に蓄えられた有機物,栄養塩が湖水に戻りにくいことが原因であると考えられた. 1977年以来の諏訪湖の透明度の変遷を解析した.水質汚濁の進んでいた諏訪湖では下水道の整備の結果,1999年になって夏と秋の透明度上昇が顕著となった.2003年秋は降雨が多く,それに伴い集水域からの栄養塩の流入量が増し透明度が低下した.特に窒素の負荷量に降雨量と正の相関が見られた.諏訪湖では下水道の整備により水質浄化が進んだが,それに伴い諏訪湖への集水域からの負荷の寄与率が上がり,降雨の影響を強く受けるようになったと考えられる.
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