研究分担者 |
片山 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00302779)
大瀧 雅寛 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (70272367)
三谷 啓志 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (70181922)
鈴木 譲 独立行政法人 土木研究所, 材料地盤研究グループ, 上席研究員 (20231376)
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研究概要 |
消毒の指標細菌の一つであるEscherichia coilおよびの対象微生物としてその挙動が注目されるCryptosporidium parvumについて,紫外線不活化中および光回復処理中のピリミジン二量体をEndonuclease Sensitive Site(ESS)法により測定した。本研究では,ESS法が水中微生物の紫外線消毒処理の評価に適用可能であるかどうか,その定量性を含めて議論した。また、E.Coliを対照として,ESS測定結果と平板培養法による生残率の測定結果とを定量的に比較し,遺伝子損傷と生残率に対応が見られるかどうか検討した。さらに,E.ColiおよびC.parvumの紫外線感受性や光回復能の有無を遺伝子レベルで議論した。 その結果,以下の結論を得た。 1)E.Coliの紫外線不活化実験において,紫外線照射量と生成したESS数に高い相関(r^2=0.998)が見られた。よって、ESS法は、水の紫外線消毒処理の定量的評価に有効であることが示された。 2)生成したESS数と生残率の対数値に高い相関が見られた(r^2=0.999)ことから、ESS法は従来の平板培養数による生残率測定法と整合性のある手法であることが示された。また,E.Coliの紫外線不活化における生残率の低下のほとんどは,ピリミジン二量体の生成に起因するものであることが示唆された。 3)E.Coliの99.9%不活化後の光回復実験において,蛍光灯照射時間に伴うESS数の減少が観察された。蛍光灯照射中のESS数と生残率の対数値に高い相関が見られたことから(r^2=0.937),蛍光灯照射による生残率の回復はESS数の減少に対応することが示された。 4)C.parvumの99.9%不活化後の光回復実験において,蛍光灯照射に伴うESS数の減少が観察された。よって,C.Parvumは遺伝子レベルでの光回復能力を有することが示された。ESS修復効率で評価すると,C.parvumの光回復能力はE.coliの光回復能力と同程度であった。
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