研究概要 |
低圧操作で高い透過性能が可能なMF膜やUF膜を用いた固液分離プロセスが浄水処理へ適用されつつある.しかし,MF膜やUF膜は分離孔径以下の溶解性物質を除去できない.膜の閉塞の進行を抑止するために前凝集処理を併用する場合には,フミン質等の着色高分子有機物の一部も除去される.さらに溶存有機物質を効果的に除去するには,粉末活性炭を膜ろ過前に添加し,溶存有機物を吸着した粉末活性炭を膜で分離する方法が用いられる.本年度は,前凝集処理と粉末活性炭吸着を同時に併用するハイブリッド膜ろ過処理において,添加される粉末活性炭の物理的性状が水中溶存有機物の除去性に及ぼす影響について検討した. 実験用原水は北海道の湖水と愛知県の河川水を使用した.総滞留時間8〜10分の攪拌槽列型の処理装置に原水を連続通水し,アルミニウム系凝集剤(1〜2mg/L as Al)と椰子殻系や木質系の粉末活性炭(2〜50mgl)を添加して攪拌処理した後で,MF膜ろ過を行った.その結果,溶存有機物(溶存有機炭素DOC,紫外部吸光度E_<260>)の除去率は活性炭の添加濃度に応じて10〜80%の範囲を示したが,粒径40μm程度の粉末活性炭に比べて粒径5μm程度の粉末活性炭の除去率が高い場合が多く,活性炭の粒径が溶存有機物除去性に大きく影響することが示された.
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