研究概要 |
鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食に対する完全非破壊検査技術の確立のためには,腐食が予想される箇所での鉄筋の位置探査と,その腐食程度の定量的な評価が必要となる.本年度の研究においては,配筋状況の推定方法および腐食程度の評価方法を明らかとするとともに,電極配置に対する電気回路の想定と,測定結果の電気工学的意味について理論的な考察を行った. 塩分を2.4kg/m3混入させたモルタル試験体(水セメント比65%,早強セメント,140mm×290mm×340mmに対し,表面から40mmの位置にΦ19mm異形鉄筋を設け,電食によりあらかじめ腐食を施した.この試験体に対し,Wenner法とDipole-Dipole法により内部の比抵抗の測定し,測定電極の配置方向と鉄筋の配置方向との関係から鉄筋の配置状態を推定を試みるとともに,等価回路理論の導入による鉄筋の腐食量の定量的な評価を試みた. その結果以下の知見を得た. 1.電極配置法の固有特性導入を通じて,鉄筋の位置や配筋状態を把握が可能であることを確認し,鉄筋探査に対して,Wenner法とDipole-Dipole法の併用が有効である事を確認した。 2.等価回路,特に容量成分及び分極率の考察により,鉄筋腐食量の定量的把握を目的とした高効率・高精度の検査が可能である事を確認した. 以上より,比抵抗法・強制分極法により,鉄筋の位置及び腐食の定量的評価が可能である事を確認した.次年度は,測定制度の向上を図るとともに,より実構造物に近い状態での非破壊技術の確立を目指ざしコンクリートの養生条件(含水状態)を水準とした実験を行う予定である.
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