研究分担者 |
水谷 太郎 大成建設, 設計本部・構造グループ, プロジェクトエンジニア(研究職)
細澤 治 大成建設, 設計本部・構造グループ, グループリーダー(研究職)
加藤 直樹 京都大学, 工学研究科, 教授 (40145826)
田川 浩 京都大学, 工学研究科, 助手 (40303854)
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研究概要 |
スタジアムとして用いられるケーブル補強大スパン骨組構造物では,ケーブルに導入される張力は,静的及び動的外力に対する応答変位や応力に大きく影響するにもかかわらず,経験的試行錯誤によって決定されているのが現状である。一方,完成状態での張力が決定された後,そのような完成状態の施工過程を通じての実現可能性について検討する必要がある。 本年度は,昨年度までに開発した完成形状でのケーブル張力・配置最適化手法と,完成形状からの逆施工解析によるケーブルとベントの施工順序最適化手法お拡張し,下記のような成果を得た。 1.昨年度までは,完成時に十分な剛性を有し,剛な骨組によって任意な形状を実現可能なケーブル補強骨組を対象とし,完成時張力と,張力導入順序を決定する手法を提案した。それに対し,本年度は,導入張力の形状への影響が大きいような一般的なケーブル補強骨組に拡張するため,完成時の釣合い形状とケーブル張力を,2次錐計画法や半正定値計画法などの新しい数理計画法を用いた手法を提案した。さらに,その手法を用い,ケーブルドームやテンセグリティの部材張力と部材の方向を指定できる手法を開発した。 2.逆施工解析による施工順序(ケーブル張力導入及びベント除去の順序)近似最適化手法を拡張し,与えられた評価尺度を最大化するような施工順序を逐次求める過程において,探索範囲を広げてより精度の良いアルゴリズムを提案した。 3.種々の形状及び形式のケーブル補強骨組の最適ケーブル張力,ケーブル配置と最適施工順序を求め,完成状態でのケーブル配置,張力導入とベント除去順序の一般的傾向について考察した。 4.実務での構造解析を汎用プログラムで行なうことを想定し,本研究で開発したプログラムと汎用構造解析プログラム(NASTRAN)とのデータ変換のためのツールを作成した。
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