研究概要 |
(1)RC補強柱の耐震加力実験 プレストレスはアラミド繊維補強ペルトにおける破断強度の約1/3に相当する7000μを基準にして,プレストレスの有無や軸力比の影響を検討するために,コンクリート強度が13.6MPaから37.3MPaの範囲内でRC極短柱(せん断スパン比1.0)の一定軸圧縮力下(軸力比0.2,0.4,0.6)の正負繰り返し水平加力実験をプレストレスを導入しない場合も含めて合計14体行った。その結果,高軸圧縮力下ではプレストレスの有無が耐震性能に大きな影響を与えることがわかった。特にプレストレスの効果は軸力比が高くなるほど顕著になることがわかった。 さらに地震被災直後の応急補強法を前提に,せん断破壊させたRC柱試験体1体に本補強法を適用し,一定軸圧縮力下(軸力比0.2)の正負繰り返し水平加力実験を再開し,損傷した補強RC極短柱(せん断スパン比1.0)の耐震性能を検証した。脆性的なせん断破壊を起こすRC極短柱(せん断スパン比1.0)1体を最初から耐震補強した場合についても,水平加力実験を建研式加力装置を用いて行った。その結果,健全な柱の耐震補強柱は曲げ強度(実験値が計算値に到達した)と靭性を確保できたが,損傷した柱の応急補強柱は曲げ強度実験値が曲げ強度計算値に比較して10%前後低いが,十分な靭性と鉛直荷重支持能力を大変形時(R=5%)まで確保でき,本ドライ型耐震補強法は応急補強にも利用できる見通しを得た。 (2)3次元非線形有限要素法によるアラミドベルトの横拘束効果解析 3次元非線形有限要素法(プログラム名:DIANA)を適用して,コーナーアングル(面取り半径と板厚),アラミドベルトの引張り剛性,ピッチ,プレストレスなどを変化させてRC柱に対するアラミドベルトの横拘束効果を解析的に検討した。その結果,プレストレスの導入により生じた能動的横拘束効果が中心圧縮強度と靭性に顕著な影響を及ぼしていることが明らかになった。したがって,次年度はアラミドベルトで耐震補強した柱の中心圧縮荷重実験を行う予定である。
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