研究概要 |
本研究は,地球環境および地域環境に配慮した建築へ貢献できるような環境調和型建築部材として開発している「炭化ワラ材料を用いた息をする壁体」を社会システムも考慮した上で実用化することが目的である。以下,本年度の研究実績の概要を述べる。 1.本壁体をある一地域内で製造〜利用〜廃棄を可能とする部材流通システムの検討として,適用地域規模,製造形態を検討し,炭化ワラ材料を用いた透気性壁体の部材流通システムを設定した。さらに同システムに対するライフサイクルでの環境影響評価を行った。本年度は環境負荷項目として現在重視されている項目の一つである二酸化炭素排出量に着目した。関連業者へのヒヤリングも含め,文献,実験値を元に原単位データの収集・整理を行った。以上により,炭化ワラ材料を用いた透気性壁体のライフサイクルニ酸化炭素排出量を試算し,その有効性を確認した。 2.実用化に向け施工性を重視したパネル状のコア部材へ改良するために,温度制御可能な炭化装置の操作性を向上させるための改良を行った。これによりパネル状の炭化稲藁の試作を行った。具体的には,バインダーや不織布などの素材の収集・選定を行い,これまで稲ワラ単体で炭化し部材化していたものを,選定した素材によって成形したコア部材を直接炭化する方法を採用した。現在,試作したコア部材の密度及び厚さをパラメーターとして試験体の透気特性試験を行っており,改良型のコア部材の透気性能を確認するとともに,環境制御装置を用いて断熱性能を把握するための実験を行う予定である。
|