研究分担者 |
浅井 伸明 ブラザー工業(株), 研究開発センター, 研究員
杉村 博之 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10293656)
高井 治 名古屋大学, 理工科学総合研究センタ, 教授 (40110712)
穂積 篤 産業技術総合研究所, セラミックス部門, 研究員
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研究概要 |
本年度の研究成果は以下のとおりである. (1)表面微細構造制御InN薄膜の作製: InN薄膜は反応性イオンプレーティング法により作製した。反応容器内を10^<-4>Paまで真空排気後,N_2ガスを1Paの圧力で導入し,N_2プラズマを発生させた.高周波出力は100W一定とした.N_2プラズマ生成後,Inるつぼを加熱してIn蒸気流を発生させるが,このとき,るつぼ温度によりIn流束を制御し,InN薄膜の堆積速度を変化させた.基板にはガラス板を用いた.基板ホルダーは接地電位とし,In流束に対して70°〜85°に傾斜させた.比較のために,傾斜角0°の試料も作製した. (2)表面微細構造制御InN薄膜の構造評価:どの基板傾斜角で堆積した場合も,In:N=1:1の化学量論組成でウルツ鉱型結晶構造を有するInN薄膜が得られた.作製膜は101面配向していることがわかった.SEMによる表面モルフォロジー観察の結果,作製膜は基本的に10〜20nm程度の微細な柱状結晶粒がいくつか集まり,100nm程度の太さの柱状結晶粒集合体から構成されていた.基板傾斜角度が大きくなるにつれて,Shadowing効果によって生じたと考えられる結晶粒集合体間の空隙が広がり,表面積が増大していることが確認できた.断面SEM観察によって,この空隙は膜の基底部分から表面まで続いていることがわかった.さらに、基板傾斜時の基板自転速度を0.1rpmと極めて遅くすることによって,前述の柱状結晶粒集合体の形を螺旋状に制御することに成功した. (3)表面微細構造制御InN薄膜のEC特性評価:基板を傾斜させて作製したInN薄膜試料において,明らかなEC効果の向上が認められた.すなわち,Asaiらによる「有効表面」仮説が,定性的に証明されたといえる.基板傾斜角0°の試料に比べ,基板傾斜角85°の試料では,EC現象に伴う吸収係数スペクトル変化が約2倍に向上した.また,カソード分極時の応答時間は約1/2に短縮された.
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