研究概要 |
本年度の研究成果は以下のとおりである. (1)表面微細構造制御InN薄膜の作製:InN薄膜は反応性イオンプレーティング法により作製した.反応容器内を10^<-4>Paまで真空排気後,N_2ガスを0.1〜1Paの圧力で導入し,N_2プラズマを発生させた.高周波出力は100W一定とした.N_2プラズマ生成後,Inるつぼを加熱してIn蒸気流を発生させるた.In流束は水晶振動子膜厚モニターを用いて一定に制御した.基板にはガラス,ITOコートガラスを用いた.基板ホルダーは接地電位とし,In流束に対して85°に傾斜させた.比較のために,傾斜角0°の試料(平面堆積膜)も作製した. (2)表面微細構造制御InN薄膜の構造制御:前年度までに,基板傾斜時の基板自転速度を0.1rpmと極めて遅くすることによって,前述の柱状結晶粒集合体の形を螺旋状に制御することに成功した.本年度は,基板ホルダーを一定時間ごとに反転させることによって,ジグザグ状の柱状結晶粒集合体を作製することに成功した.基板ホルダーを10rpm以上の高速で自転させることにより得られる,円柱状構造も合わせ,3種類のInNナノロッド形状を再現性よく作製する技術を確立した.さらにShadowing効果を高めるために,堆積中のN_2圧力の下限を調査した結果,0.3Paまでウルツ鉱型結晶構造を有するInN多結晶膜が得られることがわかった. (3)表面微細構造制御InN薄膜のEC特性評価:円柱状,螺旋状,ジグザグ状の3種類のナノロッド形状に対してEC特性を比較したところ,ジグザグ状,螺旋状,円柱状の順に大きな色変化を示した.平面堆積膜と比較した場合,流れた電荷量で色変化の度合いを表すと,ジグザグ状の膜で約2.5倍の色変化量となった.色変化速度については,斜め堆積によってナノロッド形状を有する膜は,ほとんど形状によらず,平面堆積膜の約2倍であった.
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