研究概要 |
強誘電体薄膜は、現在Pb(Zr,Ti)O_3を中心にした鉛系材料が検討されているが、鉛の毒性を考えると代替材料を探索することは急務である。本研究はこの問題に取り組んでいる。 まずMOCVD法で高品質なエピタキシャル薄膜を作製し、大きな強誘電性を発現する組成探索をBi_4Ti_3O_<12>基で行なった。その結果、以下の結果を得た。 1)Vはエピタキシャル薄膜においては残留分極値には大きな影響を及ぼさず、抗電界がわずかに減少するのみである。 2)ランタノイド元素は逆に抗電界にはほとんど影響を及ぼさないのに対し、残留分極地のみに大きく影響を及ぼさない。 3)残留分極値はランタノイド元素の種類によって異なり、Ndでは25μC/Cm2を上回る残留分極値が得られ、Pb(Zr, Ti)O_3の強誘電性に匹敵する値が得られることがわかった。 次に低い合成温度で特性発現可能な物質を探索することにより、今後重要となるSi基板上への集積をも可能とする非鉛系新材料の開発を目指す。 2年度は主にMOCVD法でこれら薄膜の低温合成を試みた。その結果、以下の結果を得た。 1)成膜温度540℃では、LaおよびPr置換で強誘電性が確認できたがNdやSmでは確認できなかった。 3)2)成膜温度500℃では、La置換でのみは強誘電性が確認できた。この薄膜の残留分極値は16μC/cm^2で、8×10^<10>回の分極反転で無疲労であった。
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