研究概要 |
本年度は,メカノフュージョン法,ハイブリタイゼーション法および超音波噴霧-熱分解法によりセラミック中空粒子の調製を試みるとともに,「金属-セラミック中空体」複合材を作製し,その特性を評価した。 (1)メカノフュージョンを利用したセラミック中空粒子の調製 粒径が約10μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)球状粒子にアルミナ粒子(粒径:約0.2μm)および微量のシリカ粉末(粒径:約11nm)を添加してメカノフユージョンシステムにより複合化したところ,PMMA粒子にアルミナ(+シリカ)が均一にコーティングされた複合粒子を調製できた。さらに,これを700℃電気炉に直接投入後,1600℃で焼成することにより,アルミナ中空粒子が得られた。このアルミナ中空粒子とアルミニウムの複合体を作製して摩耗性など評価した結果,他の既存のセラミック中空粒子を用いたものに比べて良好な特性を示した。さらに,アルミナと同様の方法によりチタニア中空粒子も調製できた。 (2)ハイブリダイゼーションを利用したセラミック中空粒子の調製 (1)とほぼ同様の組成の原料を用いて,ハイブリダイゼーションシステムにより複合化した。しかし,これを焼成してもアルミナ中空粒子を得ることができなかった。 (3)超音波噴霧-熱分解法によるアルミナ中空粒子の調製 硝酸アルミニウム水溶液に超音波を照射してミクロンオーダーの液滴を生成させたのち電気炉(約1300℃)に挿入して熱分解することにより,球状アルミナ粒子(δ-Al_2O_3,粒径:数100nm〜数μm)を調製できた。中空粒子の割合は少なかったが,1300℃で再焼成することによりα-Al_2O_3に転移するとともに,中空粒子の割合が増加した。さらに,原料溶液にクエン酸などの有機酸や界面活性剤を少量混合させることにより,アルミナ中空粒子の割合が著しく増加することがわかった。
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