研究課題/領域番号 |
13555177
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大内 千秋 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00312603)
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研究分担者 |
大石 政治 タイゴールド(株), 開発, 技術部・室長(研究職)
渡辺 雅俊 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10240524)
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キーワード | 生体材料 / β型チタン合金 / ステンレス鋼 / PVD / TiN被覆 / 細胞毒性 / 冷間加工性 / 複合材料 |
研究概要 |
生体内マイクロマシンや複合材料の強化材料として使用されるTiN被覆を施した超高強度チタン合金極細線及び箔帯の研究開発を目的として、以下の研究を行なった。1.生体内細胞や神経に対して毒性や有害性を有する可能性のあるVやAl等の元素を含まず、また極細線や箔帯の製造を可能とする優れた冷間加工性を有した新開発β型チタン合金について、β組織の安定性、冷間圧延性、強度・延性、各種物理特性の調査、確認を行った。本合金はTi-14%Mo-Nb-Zr-Oを基本組成とし、β変態点が1000K前後にあるβ型チタン合金であり、いずれの特性も初期の目標値を満たす事が確認された。2.新チタン合金の実生産規模の溶製を行い、溶解上の問題点がないことを確認し、極細線と箔帯の試作を進めている。試作合金について、機械的・物理的特性、分極特性及び細胞培養特性等の評価を行った。3.ステンレス鋼で作成した25μm径の極細線にPVDによりTiN被覆を施し、PVDの条件と引張強度の関係を調査した。その結果、PVD処理中の温度上昇による軟化焼鈍が問題となったが、条件によっては引張強度が最大で30%程度増加する事を確認した。4.TiN被覆を施したステンレス鋼製極細線で7本もしくは19本縒りのロープを作成し、生理的食塩水中で回転曲げ疲労試験を行なった。その結果、被覆を施さない場合と比較して腐食摩耗疲労特性が向上している事を確認した。 来年度は、本年度の成果を踏まえ、さらに以下の研究を行なう予定である。1.Ti-14%Mo-Nb-Zr-O系新チタン合金での極細線および箔帯を製造する。2.長尺の極細線や箔帯を効率的にTiN被覆するPVD生産技術を開発する。3.TiN被覆極細線とチタン合金薄板とをホットプレスにより積層複合化し、複合材料としての評価試験を行う。
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