研究分担者 |
手束 展規 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40323076)
籠谷 登志夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40005343)
猪俣 浩一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90323071)
太田 博康 放送通信機構, 仙台EMC?RC, 主任研究員
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研究概要 |
1.目的 衛星通信、移動通信の発達により電磁波障害が社会的問題となり、GHz帯域に対応できる優れた電磁波吸収体が要求されている。本研究ではM型相と結晶構造、磁気的性質が類似しているが異なる共鳴周波数をもつW型相を、M型相とともに出現させた混晶組織からなる焼結体を作製し、両相の自然共鳴を有効利用することにより薄型で広GHz帯域で機能する電磁波吸収体の開発を目的とする。 2.方法 試料組成は置換元素をSnMnとしたBaZn_<2y>Fe_<12-x+4y>(Sn_<0.5>Mn_<0.5>)_xO_<19+8y>(1.2≦x≦2.0,0.25≦y≦0.75)とし、焼成温度T=1473K〜1573Kで通常のセラミックス焼結法にて作製した。焼結後トロイダル状に加工した試料を同軸管中に挿入し、HP8720Dネットワークアナライザを用いてS_<11>およびS_<21>パラメータを測定した。これらの値より複素比誘電率ε_r、複素比透磁率μ_rおよびR.L.を算出して電磁波吸収特性を評価した。また相の同定にはXRDを用いた。 3.結果 (1)x=1.2,y=0.5と固定しT=1473K〜1573Kで焼成したBaZn_2Fe_<12.8>(Sn_<0.5>Mn_<0.5>)_<1.2>O_<23>試料において、MおよびW相からなる2相混晶試料が得られ、μ_r^I、μ_r^<II>の周波数分散に2つのピークが観察された。これらのうち、T=1473K,1523Kの試料でR.L.≦-20dBとなり、ΔFはそれぞれ2.2GHz,0.7GHzなる値を示した。(2)T=1473Kと固定し、MおよびW相の配合比(y)を0.25〜0.75と変化させたところ、整合厚さ(d_m)の値はほとんど変化しないが、ΔFはy=0.5で極大値を示した。(3)2相混晶フェライト試料は、M型単相試料より広帯域化を示すことから2相混晶フェライトにより、薄型かつ広帯域特性を有する電磁波吸収体の作製が可能と考えられる。
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