研究課題/領域番号 |
13555184
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60125549)
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研究分担者 |
木村 禎一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10333882)
明石 孝也 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20312647)
増本 博 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50209459)
小野 敬 (株)リケン, 研究センター, 主任研究員
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キーワード | MOCVD / 貴金属酸化物 / YSZ / ナノコンポジット / 電極材料 / 酸素センター / 酸素濃淡セル / ACインピーダンス |
研究概要 |
Ir、Ru、ZrおよびYの各ジピバロイルメタネート錯体を原料とするMOCVD法によって、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板上に、IrO_2-YSZおよびRuO_2-YSZナノコンポジット膜を合成した。原料の気化温度、基板温度、成膜圧力および酸素分圧の最適化によって、直径8mmのペレット状基板に均一な膜を作製できた。 得られたナノコンポジット膜について、XRDとXPSによる生成相の同定とSEMとTEMによる微細構造の観察を行った。その結果、Ir-YSZコンポジット膜ではIrはほぼ金属として存在し、膜は直径2-5nmの球状粒子で構成されていることが分かった。また、Ru-YSZコンポジット膜では、RuはRuO_2として存在し、直径30-70nmの球状粒子から構成されていた。EPMAによる組成分析の結果、いずれの膜でも、原料の気化温度によって組成を制御できることが分かった。 ナノコンポジット膜をYSZ固体電解質用の電極として評価するために、電極/YSZ界面の電気伝導率をACインピーダンス法によって評価した。その結果、IrO_2またはRuO_2の含有量が15-30vol%で界面の電気伝導率は最大となった。このような傾向は、導電性粒子とYSZ粒子の接触面積の変化から説明できた。 ナノコンポジット電極を用いた酸素濃淡セルを作製し、酸素センサーとしての作動試験を行った。濃淡セルの起電力は、823K以上でネルンストの式に従い、応答時間は20s以下で、酸素センサーとして極めて優れた性能を示した。 以上、本年度の研究では、IrO_2-YSZおよびRuO_2-YSZナノコンポジット膜を作製し、固体電解質用電極材料として優れた特性を示すことを明らかにした。特にRuO_2-YSZナノコンポジット電極は金属を含まない電極材料であり、金属電極の溶出が問題となる溶融金属中の酸素濃度の定量を可能にするものと期待される。
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