研究課題/領域番号 |
13555188
|
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
梅本 実 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90111921)
|
研究分担者 |
森井 浩一 大同特殊鋼(株), 技術開発研究所, 研究職
土谷 浩一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50236907)
|
キーワード | 熱電 / 廃熱 / ゼーベック / シリサイド / Mg_2Si / 低環境負荷 / 焼結 |
研究概要 |
一次供給エネルギーの約60%が廃熱として捨てられている。熱エネルギーと電気エネルギーを直接変換する熱電材料を用いれば、廃熱として捨てられている熱エネルギーを回収して、電気エネルギーとして有効に利用できる。現在は、Bi_2Te_3やCoSb_3等が熱電材料として実用化および研究されている。しかし、これらの材料は重元素や有害元素で構成されており、環境汚染の問題から今後の使用が規制されると思われる。資源が豊富で環境負荷の小さい元素で構成される珪化物熱電材料の一つであるMg_2Siは、比重が約2と非常に軽量であるという特長を持ち、自動車等移動体の廃熱利用のために熱電材料の搭載を考えた際には魅力的な材料である。しかしMgの沸点とMg_2Siの融点が非常に近いために、溶融法によるMg_2Siの作製は困難で、これまではほとんど研究がなされていない。 本研究では、環境負荷の小さい元素で構成されるMg_2Si熱電材料に着目して、熱電特性の向上を目指して研究を行った。その結果、液相状態のMgと固体状態のSiを反応させてMg_2Siを生成する固相-液相反応法によりMg_2Siを容易に作製する方法を確立した。Mg_2SiにAlおよびAgを添加するとn型およびp型Mg_2Si熱電材料が作製できる。各元素を添加したMg_2Siの電気抵抗率を無添加Mg_2Siと比べると、Al添加試料は一桁以上低下するが、Ag添加試料はほとんど変わらない。パワーファクターPの最大値はAl添加試料で2.5×10^<-3>Wm^<-1>K^<-2>(473K)、Ag添加試料で1.0×10^<-3>Wm^<-1>K^<-2>となり、Al添加試料は比較的高い値を示した。Al添加Mg_2Siの熱伝導率を求めて、性能指数Zを算出したところZ_<max>=0.67×10^<-3>K^<-1>(856K)となった。これは珪化物熱電材料の中では最も高い値であり、Al添加Mg_2Siが中温域での使用が有望であることが分かった。
|