研究分担者 |
基 昭夫 東京都立産業技術研究所, 生産技術部・研究員
高橋 智 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (80260785)
筧 幸次 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (70185726)
磯本 辰郎 山陽特殊製鋼(株), 技術研究所, 所長
川原 雄三 三菱重工業(株), 横浜研究所, 主席研究員
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研究概要 |
廃棄物をめぐる社会システムは現在,大きな転換期を迎えており,これを支える廃棄物処理技術においても変革が求められている。とくに,廃棄物処理過程で発生するダイオキシン類(以下,DXNsと略記)を中心とした環境(健康)リスク物質等を最少限化したうえで高度なマテリアル・サーマルリカバリーを達成できる環境プラント技術の確立が急務であり,廃棄物処理プラントの主要構成部材である廃熱ボイラ高温部で深刻な問題となっている高温腐食損傷の解決がkey issueとなっている。 本研究では,廃棄物焼却廃熱利用による高効率廃棄物発電の当面の目標過熱蒸気温度である500℃において適用可能な高耐食性を有する超耐環境性耐熱鋼の研究開発を目指した種々の検討を行う。すなわち,上述のDXNs抑止技術とボイラ材料の高温腐食抑制技術には多くの点で共通性があり,基本的には合金元素のうち酸化物や塩化物の状態でDXNs再合成反応における触媒作用を果たす元素を排除した合金設計と同時に,高温耐食性を格段に改善できる合金元素の適量添加に基づく合金設計が重要である。 本年度は,これまでの検討結果に基づいて開発候補材の選定作業を進める一方,高効率廃棄物発電ボイラ環境の腐食性環境を的確に把握すべく,実機プラントメーカに所属する研究分担者の協力のもとに,ボイラ高温部への付着堆積灰や燃焼ガス等の環境解析サンプルを数カ所から採取して,高精度の分析情報を得るとともに,環境の熱力学的平衡相(物質)を推定するために熱力学ソフトを購入して相平衡解析を一部実施した。また,信頼性の高い腐食評価試験実施のために,雰囲気制御型高温腐食試験装置を本年度予算の大半を占める設備備品費により購入,当初の計画通り研究分担者の所属する東京都立産業技術研究所に設置した。平成13年度後半の採択により,本補助金の執行開始が平成14年初頭になってしまったため,本格的な腐食試験の実施は次年度に入ってからになる。
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