研究課題/領域番号 |
13555195
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
北田 正弘 東京芸術大学, 美術研究科, 教授 (70293032)
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研究分担者 |
鈴木 雄一 古河電気工業(株), 横浜研究所, 所長
紀平 寛 新日鐵(株), 技術本部・主任研究官
水流 徹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20092562)
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キーワード | 環境評価 / 金属薄膜 / 反射率 / Ag / Cu / 膜厚 / Ag_2S / Cu_2O |
研究概要 |
環境の善し悪しを金属薄膜の反射率で評価するには、反射率の揃った薄膜を作製することが必要である。また、評価に最適な膜厚を選定しなければならない。先ず、厚さが20〜500nmのAg、Cu膜を作製し、最適膜厚を検討した。その結果、厚さ100〜200nm膜の反射率ばらつきが少なく、環境評価に最適であることを見出した。薄いと島状になって十分な反射率が得られず、厚いと薄膜表面のヒロックなどで反射率にばらつきが生ずる。次に、基礎データを得るために大学校内等で腐食による反射率の変化を測定した。約2ケ月の測定でAg膜の反射率はほぼ直線的に減少し、環境評価法として十分に使えることを明らかにした。環境の場所による影響を調べるため、大学美術館の収蔵室、搬入口、外部等で測定比較した結果、環境の影響を極めて明瞭に把握することができ、収蔵室の性能の高さを立証した。試験後のAg膜をX線、透過電子顕微鏡で観察した結果、Ag膜の贋食は空気中のSとC1が主であり、Ag_2SとAgC1が検出された。Cu膜は主にH_20の影響で腐食し、Cu_20を形成して反射率が低下する。表面近傍にはCuSの結合もみられる。Cuの反射率も環境条件が大きく変わらなければ直線的に低下する。美術品を収蔵する環境として、一般住宅の環境を検討した結果、屋内、屋外、露天の差が明瞭に得られるとともに、桐箱に収蔵する効果も立証された。 これらの成果を基に2件の特許を申請した。
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