研究課題/領域番号 |
13555197
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
伊藤 治彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70201928)
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研究分担者 |
神田 一隆 (株)不二越, 技術開発部, 開発企画室長(研究職)
齋藤 秀俊 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80250984)
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キーワード | アモルファスCN膜 / マイクロ波プラズマCVD / ECRプラズマCVD / CNラジカル / 質量分析 / プラズマ診断 / C原子 / 炭素材料 |
研究概要 |
本研究ではアモルファス窒化炭素膜の組成を決定づける要因を調査する目的で四重極質量分析計を用いた閾値イオン化質量分析法によりBrCNの解離イオン化過程を調べた。これらの研究により得られた結果から以下に示すような結論を得た。 (1)電子衝撃によるBrCNの解離イオン化過程 イオン化に用いる電子のエネルギーを変化させてBrCNの解離イオン化で生成したイオン種の質量分析を行った。その結果23eV以上の電子エネルギーでC^+が検出された。すなわち高い運動エネルギーを持つ電子の衝撃で薄膜の形成の前駆体としてCNラジカルの他にC原子が生成することが示唆された。このことから、CN膜の形成過程について以下のことが結論された。 ECRプラズマCVDは電子が高いエネルギーをもってBrCNに衝突していると考えられる。本研究による結果よりCイオンが有効に生成していることからC原子についても高効率で生成すると予想される。したがってこのCイオンおよびC原子が存在する条件下ではa-CNx膜に比べa-C膜が優先的に生成し、[N]/([N]+[C])が低く抑えられる。方、MWプラズマCVDはC原子の生成する効率がきわめて低いため、結果として[N]/([N]+[C])が50%近くに保たれる。 以上(1)および(2)より閾値イオン化質量分析法を用いたBrCNの解離イオン化過程の解析がa-CN_x膜の窒素含有率を決定づける要因を調査するのに非常に有用な情報を提供することを見出した。 (2)高分解能レーザー分光法にもとづくCN(X)状態の濃度解析 マイクロ波プラズマCVDにおける薄膜形成の前駆体として、CN(X)状態が最も有力な候補である。マイクロ波放電フローの下流でCN(A-X)遷移のレーザ誘起蛍光分光測定を行った。その結果、CN(X)状態は振動量子数が5程度まで励起されていることが見出された。さらに、LIFの強度とArのレーリー散乱強度とを比較することによって、CN(X)状態の濃度を計測した。
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