内部アンテナ型大容積RFプラズマ源を用いた高性能プラズマイオン注入プロセスの開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13555199
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 節原 裕一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80236108)
• 研究分担者: 三宅 正司 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (40029286) ; 高橋 和生 京都大学, 工学研究科, 助手 (50335189) ; 斧 高一 京都大学, 工学研究科, 教授 (30311731) ; 熊谷 正夫 神奈川県産業技術総合研究所, 材料工学部, 専門研究員(研究職) ; 庄司 多津男 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50115581)
• キーワード: 誘導結合プラズマ / 内部アンテナ / 低インダクタンス / 大容積プラズマ / プラズマイオン注入プロセス

研究概要

本年度は、低インダクタンス内部アンテナを用いて生成した大容積高周波プラズマ源の特性解明とナノ微結晶複合構造(ナノコンポジット)薄膜の形成プロセスに主眼を置いて、メートル級の大容積プラズマの特性と低インダクタンスアンテナ周辺での電子加速特性を明らかにすると共に、イオン化スパッタによるナノコンポジット薄膜形成におけるナノ構造に及ぼす効果の解明を中心に研究を行った。まず、メートル級の真空容器に直線状の低インダクタンスアンテナを内部アンテナとして備えたマルチアンテナ型プラズマ源を構築しプラズマ生成実験を行った。アルゴンでは5x10^<11>cm^<-3>に達する高密度プラズマが得られ、プラズマ電位も効果的に抑制された良好な高密度プラズマ源であると共に、プラズマイオン注入系としても十分なイオン電流を基材に照射可能であることが明らかとなった。さらに、最適なアンテナ配置ならびにアンテナ設計において重要となるアンテナ周辺での電子加速特性を解明するため、粒子シミュレーション(PIC ; Particle in Cell)を実施して近接場である誘導電場による電子加速特性を調べ、放電ガス圧、高周波電流位相、アンテナ配置に対する影響を明らかにした。また、イオン化スパッタプロセスによるZrN/Cu系ナノコンポジット薄膜における、ナノ構造に及ぼす成膜条件の影響と超硬質性の発現性について調べ、膜中に混入させる微量のCu組成とイオン衝撃効果がナノ構造に大いに影響を及ぼすことを明らかにすると共に、良好なナノ構造を有する薄膜では超硬質性を発現することを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] J.Musil, J.Vicek, P.Zeman, Y.Setsuhara, S.Miyake, S.Konuma, M.Kumagai, C.Mitterer: "Morphology and Microstructure of Hard and Superhard Zr-Cu-N Nanocomposite Coatings"Jpn.J.Appl.Phys. 41. 6529-6533 (2002)
• [文献書誌] Y.Setsuhara, T.Shoji, A.Ebe, S.Baba, N.Yamamoto, K.Takahashi, K.Ono, S.Miyake: "Development of internal-antenna-driven large-area RF plasma sources using multiple low-inductance antenna units"Surf.Coat.Technol.. (印刷中). (2003)
• [文献書誌] Y.Setsuhara, A.Ebe, S.Baba, H.Inami, T.Shoji, K.Takahashi, K.Ono, N.Yamamoto, S.Miyake: "DEVELOPMENT OF LARGE-AREA HIGH-DENSITY RF PLASMA SOURCES USING LOW-INDUCTANCE INTERNAL ANTENNA UNITS"Abstracts of 1st Asian Symposium on Ion and Plasma Surface Finishing, Nagasaki, Japan, August 29-30, 2002. 30 (2002)
• [文献書誌] S.Sugiura, Y.Setsuhara, K.Takahashi, K.Ono: "Numerical Analysis of Inductively Coupled RF Plasmas Driven by Low-Inductance Internal Antenn"Proc.20th Symposium on Plasma Processing, Nagaoka, 2003. 171-172 (2003)