研究課題/領域番号 |
13555201
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
三浦 秀士 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30117254)
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研究分担者 |
松田 光弘 熊本大学, 工学部, 助手 (80332865)
大津 雅亮 熊本大学, 工学部, 講師 (20304032)
河村 能人 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (30250814)
上村 誠 熊本県工業技術センター, 生産技術部・研究員
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キーワード | 金属粉末射出成形法 / 焼結低合金鋼 / Ni添加量 / 熱処理 / メゾヘテロ組織 / 機械的性質 |
研究概要 |
平成13年度で施行された脱バインダ・焼結条件および熱処理条件の最適化に基づいて、厳選された組織系の回転曲げ疲労試験片を作製し、種々の熱処理後、回転曲げ疲労試験による疲労特性について調査し、それらの動的破壊挙動についての詳細な解析を行なうが、組織との関連性も大きいことから、光学顕微鏡やEPMA、TEMなどの現有設備を用いた組織観察や元素分析ならびに相の同定とともに、予想される不均質組織の分散状況との関係について定量的評価も試み、超強靱な特性発現の原因を追求する。またNiフリーの観点から、代替元素であるMnを用いての調査を行い、エコマテリアル化のリサイクラブル材料設計をも考慮した実験も行なったので、その結果を要約すると以下の通りである。 (1)473K焼戻しの場合、MIM材の疲労強度は575MPaであり、真密度材である粉末鋳造材(650MPa)には劣るが、従来の同組成P/M材を大幅に上回る値を示している。また823K焼戻し材の疲労強度は、低温焼戻し材と比べると基地組織の軟化により低下するものの、一般的な高強度機械部品用P/M材と比較すると良好な値を示した。 (2)き裂は比較的大きな気孔から発生し、微細気候を介して進展している様子が観察され、MIM材中に残存する気孔は一般のP/M材よりも微細かつ球状化しているものの、その疲労によるき裂伝播気孔は従来のP/M材と同様に残留気孔が第一義的な因子である。 (3)Fe-80Mn粉末を用いた場合、引張強度は約1500MPa、伸びは2%と従来のNi粉末を添加したプレス材を上回る結果となったが、2%Ni添加(MIM)材には及ばなかった。これは残留オーステナイト相の増加に加え、MnとFeの拡散速度の違いによるカーケンドルボイドならびにMnの蒸発痕である粗大な空隙に起因したものであると推察される。一方、Fe-25Mn粉末を用いた場合、引張強度1660MPa、伸び3.5%と優れた値を示した。これはMnが基地中へほぼ均一に拡散したことで、残留オーステナイト相ならびにボイドや空隙の形成を抑制したためと推察される。以上、フェロMn粉末を用いた焼結Fe-Mn鋼においては、Mnの拡散ならびに粉末特性等を考慮してボイドや空隙等を抑制し、均質な組織にすることで高性能化につながると言える。
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