研究概要 |
パルス通電加圧焼結法(PCPS)の有効性を実証するために,難焼結性の過飽和急冷凝固A1合金分を主として使用し,その焼結過程を検討するとともに,本方法で得られたA1合金焼結体の機械的性質を評価した.得られた主な結果は次のとおりである. (1)アルミニウムのPCPS焼結では,酸化皮膜が破壊している金属接触部で発生するジュール熱が発生する.1パルスの電流で上昇する温度を概算すると,粉末界面の金属接触部における温度上昇量は700〜2700K程度となった. (2)本法では,PCPS焼結工程中に脱ガスをおこなうため,押し出し材と比較して短い工程と短時間で容易に強度の高い焼結体を得ることが可能である. (3)セラミック中子を用いてA1-12mass%Siアルミニウム合金中空形状焼結体のニアネットシェイプ成形を試み,焼結体のビッカース硬さ分布は52±3であり,中空体内部における硬さのばらつきが小さいことが明らかとなった.また,中子材料としてh-BN粉末またはグラファイト粉末が有効であることがわかった.また,中子の崩壊性についてはアルミナ,h-BN,タルクが優れていた. (4)パルス通電加圧焼結プロセスにより寸法のばらつきの小さいアルミニウム合金焼結機械部品(ラックガイド)のニアネットシェイプ成形が可能である・さらにサイジング工程を採用することにより,ミクロンオーダーの寸法制御が可能であることがわかった. (5)A2014組成混合粉末を出発原料として,パルス通電加圧焼結法によりステアリング部品のラックガイドを試作した.混合粉末焼結体の最高引張強さは熱処理前で最高300MPa,熱処理後400MPaと常圧焼結体に比較して,著しく高い強度を示した.このときの伸びはそれそれ17%,8%であった.
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