研究概要 |
本研究者らは,ハイブリッド自動車などで実用化が急速に進んでいるNi-H系二次電池の負極活物質に用いられる希土類金属-ニッケル系水素吸蔵合金を使用済み電池から効率的に回収するため,金属熱還元工程とフラックス溶解工程とから成る乾式リサイクルプロセスを考案し,その実用化に向けて研究を進めている。 本年度は,使用済みNi-H系二次電池中の希土類酸化物RE_2O_3をニッケル粒子の存在下で金属カルシウムによって還元し,直接的にニッケルー希土類(Ni-RE)化合物を得る金属熱還元法に関して研究を行った。その結果,ニッケルの合金化が1223-1323Kの温度で45-135分程度の反応時問で完了すること,反応途中において副生するNi_5Ca化合物がNi-RE系化合物の生成反応を著しく促進する役割を果たすのでニッケル粒子の表面にNi_5Caができやすい条件を設定することが重要であること,合金中のカルシウムの除去が今後の課題として残されることなどが明らかとなった。 また,フラックス溶解法の基本として重要なB_2O_3-CaO-RE_2O_3系ないしはB_2O_3-MgO-RE_2O_3系の1623Kにおける状態図を組織観察法により作成し,フラックス中への希土類酸化物の溶解度を決定した。その結果,フラックス中のB_2O_3とCaOないしはMgOの組成比を選ぶことによって,RE_2O_3の溶解度が30mol%程度のかなり大きな値となることが明らかとなった。
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