研究概要 |
本研究では二酸化炭素に着目し、超臨界CO_2溶媒をクローズドシステム中でポンプ等の加圧機器を使用することなく、温度分布に起因した蒸気圧差と密度差を駆動力として熱力学的に強制循環させる溶媒循環システムの構築を目的としている。本法は、高圧ソックスレー抽出に類似であるが、循環の過程で超臨界流体と液体との相変化エネルギーを蒸留機能として活用することによって、常にフレッシュな流体を被抽出物又は被洗浄物に接触させ、溶媒としての重要機能を引き出すとともに、環境保全の観点からは溶媒を系外に放出することなく、更に省資源と省エネルギー効果のある溶媒の循環・再利用する方法である。 本年度は,まず研究分担者も含めて全員にて,基本設計を行いプロトタイプの装置を製作した.基本的には、市販の配管とバルブ、高圧継手を駆使することにしたが,抽出器と計測・制御系については,製作刷ることにした.重要な因子の温度分布については、配管に沿って、適切な間隔で曲り部、継手部で詳細に測定できるようした.循環経路中での溶質濃度のモニター用に観察窓を設け,ファイバーでの分光測定も可能なものとした. 本装置を用いて,布の洗浄(汚染物質の抽出)を対象とした実験を実施しているが,温度分布(全8点)の経時変化から溶媒の循環は確認できた.しかし,系内への試料供給量の定量が容易でなく,条件間の比較が困難であることが判明した.なお,温度分布の測定により,相変化の様子も識別可能である.現時点までの結果では,洗浄効率は非循環型と比較すると向上する傾向が伺えているが,定量的解析については流量測定,試料供給量の定量法の確立とともに次の課題と認識している.
|