研究概要 |
膜型反応器とは,膜分離と触媒反応を一つのシステムにまとめたものであり,多くの反応系への応用が考えられる。本研究では,触媒層と分離膜が一体化された触媒膜に焦点を絞り,構造制御した触媒膜の開発,および,平衡シフト型反応と滞留時間制御型反応に応用し,膜反応特性の評価およびモデル化を行うことを研究目的とする。具体的には,触媒膜の構造として,分離層自体が触媒活性を有するType-a,および,触媒層と分離層が層状に存在するType-bについて,MFIゼオライト膜(Type-a),および,ゾルゲル法によりシリカ/ジルコニア系多孔性膜を製膜後(あるいは前)に触媒を含浸担持した触媒膜(Type-a, b)の2種類を開発する。 本年度は,Type-aの触媒膜としては,MFIゼオライトであるZSM-5膜を製膜し、メタノールによるトルエンのアルキル化反応に応用した。平均粒子径約100nmの種結晶を用いて,Si/Al比の異なるMFI型ゼオライト薄膜をαアルミナ多孔質管上に作製した.Si/Al=∞膜は(101)面が配向し,n-C4H10の透過係数は1.5x10^<-5>m^3(STP)m^<-2>s^<-1>kPa^<-1>であり,150℃におけるn-/i-C4H10=15であった.Si/Al比が小さくなるに従いランダムな多結晶膜が得られ,n-/i-C4H10透過係数比は低下した.Na-ZSM-5膜をイオン交換によりH-ZSM-5膜とし,トルエンのメチル化の触媒膜型反応を行った.Si/Al=50膜を用い,400〜500℃において,反応温度が高くなるに従いトルエンの初期反応率は増加し,p-キシレン選択率は約80%と高い値を示した.反応生成物のo-/m-/p-キシレン粗成は熱力平衡組成(o-/m-/p-=24/52/24)を超えるp-キシレン選択性を示したことから、ZSM-5触媒膜の有用性が示されたと考えられる。 Type-bの触媒膜として,硝酸ニッケルに含浸し,乾燥・焼成することで,まず,ニッケル担持多孔質支持体とし,その上に水素分離機能を有するシリカ膜を製膜した。500℃,メタン/水蒸気比3,メタン水蒸気改質反応の膜型反応に適用し,水素を選択的に引き抜くことで,平衡を超えた反応率を得ることが可能であることを示した。
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