研究分担者 |
山口 俊雄 (株)アククリームラタ, 開発部, 主任研究員
並木 則和 金沢大学, 工学部, 助手 (40262555)
大谷 吉生 金沢大学, 工学部, 教授 (10152175)
増井 芽 (株)アククリームラタ, 開発部, 研究員
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研究概要 |
本研究では,焼却対象物質が一様でなく,比較的小型の焼却炉で間欠運転を行う産業廃棄物焼却処理施設を対象として,ダイオキシン類生成の直前に薬剤(硫黄含有チタニア)を添加することにより,積極的にダイオキシン類の生成を抑制するシステムを構築することを目的としている。本年度は,酸化チタン粒子を薬剤として導入する予備段階として,実験室レベルでのモデル燃焼実験を行った。ダイオキシン類を生成する含塩素化合物としてPVCを取り上げ,その粒子を塩ビ系の接着剤で固化成形したものを模擬ゴミとした。さらに,添加する薬剤として,従来から排ガス中の塩化水素ガス除去に用いられている消石灰を,模擬ゴミ調製時に一定重量割合模擬ゴミに添加した。これらの模擬ゴミを都市ガス(12A)による混合火炎で30秒間燃焼させ,その後窒素パージしたチャンバで冷却を行った。その燃焼実験中に発生した排ガス中の飛灰をフィルタにより,ガス成分をガスバッグにより捕集した。なお,飛灰に関しては,捕集量が微量であったため,各種分析を行うことが困難であった。そこで,主にガス成分と燃焼後の残渣(チャー)について分析を行った。その結果ガス成分に関しては,消石灰含有量が多いほど,塩化水素ガス濃度が低く抑えられていることがわかった。また,PVCのみを燃焼させた時の残渣のFT-IRの分析では,燃焼により直鎖の炭素結合が切れて,新たにベンゼン環および芳香族塩素化合物が生成することが示された。さらに,消石灰を加えた残渣の熱重量/示差熱分析では,消石灰を加えることで塩化カルシウムが生成し,重量比の増加と共に未反応の消石灰が増加することが確認された。さらに,残渣のダイオキシン類の分析では,消石灰を加えることで明らかに残渣中のダイオキシン類の濃度が1/2以下に減少し,重量比で33.2wt%添加した場合には1/10以下に減少した。しかし,燃焼前のPVCの含有量を考慮すると,消石灰を6.4wt%程度加えることで十分なダイオキシン類の生成抑制効果が見られることがわかった。
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