研究概要 |
本研究では,ナノ三次元空間反応場をモレキュラーインプリンティングの手法を用いて構築することで、トリアジン系除草剤が特異的に結合・分解し、無毒化するための人工材料を開発することを目的とする。 1.自動ポリマー合成・評価装置を用いたコンビナトリアル手法を利用して、カルボキシル基などの弱い酸をもつ結合部位形成のための結合用モノマーと,スルホン酸基やリン酸基など強い酸性基をもつ触媒反応のための触媒活性モノマーの混合比を変化させたところ、2対6の比で、スルフォエチルメタクリレート(SEMA)とメタクリル酸(MAA)を混合したとき、最も選択性よく触媒活性発現することを見出した。 2.テンプレート(アトラジン)、機能性モノマー(SEMA、MAA)、架橋剤(エチレングリコールジメタクリレート)、重合開始剤、溶媒を混合し、UV照射して重合させた。得られたポリマーを硫酸/メタノール溶液で洗浄し、テンプレートを除去した後、農薬に対する保持時間を計測する事によってインプリントポリマーの選択性を評価した。その結果、トリアジン系除草剤に対しては高い結合力を示し、トリアジン系以外の農薬に対してはほとんど結合していない事から、ポリマーがトリアジン系除草剤と選択的に作用している事が示された。 3.ポリマーに様々な濃度のアトラジシ、シマジン、プロパジン、テルブチラジン溶液(メタノール/クロロホルム,1/9,v/v)を分注し、22℃で一定時間インキュベーションを行い、分解生成物の生成速度と基質濃度の関係を調べ、インプリントポリマーの触媒括性能を評価した。その結果、インプリントポリマーによるトリアジン系除草剤の分解生成物はそれらのCl基をCH_3O基に置換した化合物であることが確認され、アトラジン、シマジン、プロパジン、またはテルブチラジンはインプリントポリマーによって分解されている事が示された。
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