研究課題/領域番号 |
13555233
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山部 和則 熊本大学, 工学部, 助手 (90274696)
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研究分担者 |
城 昭典 熊本大学, 工学部, 教授 (40038047)
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キーワード | DNA修飾ナノスフェア / 多色アッセイ法 / 一塩基多型解析 / SNP解析 / コロイド凝集 / ナノテクノロジー / 光の三原色 / ポストゲノム |
研究概要 |
前年度に調製したDNA修飾ナノ微粒子を用いてガン遺伝子であるp53の比色検出実験を行った。 1.赤(R)-緑(G)二色微粒子系で凝集実験 p53遺伝子のホットスポットを含む野生型と一塩基の変異を含む変異体の45量体を遺伝子サンプルとしてそれぞれ化学合成した。この野生型サンプルの両端の15量体に相補的なDNAをそれぞれR、Gスフェアに修飾した。R-G微粒子混合系にそれぞれのサンプルを添加し凝集の様子を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、野生型のサンプルを添加した系では両微粒子が凝集し、それらの合成色である黄色(R+G=Y)の発光を示す凝集体がほとんどであった。一方、変異体を添加した溶液では僅かに凝集体が生成したもののその色はR、G、Yの混ざったものであった。野生型DNAがRとG微粒子を特異的に架橋した結果と考えられる。広領域を撮影した写真の画像を解析した結果、野生型添加系の全凝集体に占めるRとGの凝集体の割合、すなわち偽陰性度は1%以下、異性体添加系でのその裏返しである偽陽性度は約8%であった。 2.赤(R)-緑(G)-青(B)三色微粒子系での遺伝子解析実験 上記の系を三色系に発展させた。すなわち、変異体の片末端に相補的なDNAを同様にしてB微粒子に固定化した。これで、野生型はRとG微粒子を、変異体はRとB微粒子を架橋できることになる。2つの三色微粒子混合分散溶液にそれぞれ野生型と変異体p53を添加し、その後の凝集挙動を同様に観察した。その結果、二色系ほどのはっきりとした差ではなかったものの、野生型添加系では全体に黄色味(R+G=Y)がかった凝集体が、野生型添加系ではマゼンダ(R+B=M)を帯びた凝集体が数多く見受けられた。 以上により、一塩基多型(SNPs)の簡便な検出法としての可能性を示すことができた。微粒子へのDNA導入効率を上げることで、より明確な差として観察できると考えられる。
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