1.オリゴヌクレオチド(ODN)修飾ナノ微粒子の調整および凝集の基礎検討 水溶性のカルボジイミド(EDAC)を使用して末端アミノ化ODNを微粒子表面のカルボキシル基に化学修飾した。種々の条件検討により、超微粒子同士がそれらを架橋することができるODNにより微粒子が凝集することがわかった。この超微粒子同士の凝集体は数μから数十μmのサイズに及び、蛍光顕微鏡を用いてこれを鮮明に観察することができた。さらに、適当な波長帯の色素を有するスフェアを選んでやると凝集体を形成した場合にだけスフェア間のFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)が観察できた。 2.赤(R)-緑(G)二色微粒子系で凝集実験 p53遺伝子のホットスポットを含む野生型と一塩基の変異を含む変異体の45量体を遺伝子サンプルとしてそれぞれ化学合成した。この野生型サンプルの両端の15量体に相補的なDNAをそれぞれR、Gスフェアに修飾した。R-G微粒子混合系にそれぞれのサンプルを添加し凝集の様子を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、野生型のサンプルを添加した系では両微粒子が凝集し、それらの合成色である黄色(R+G=Y)の発光を示す凝集体が生じた。一方、変異体を添加した溶液では僅かに凝集体が生成したもののその色はR、G、Yの混ざったものであった。 3.赤(R)-緑(G)-青(B)三色微粒子系での遺伝子解析実験 変異体の片末端に相補的なDNAを同様にしてB微粒子に固定化した。これで、野生型はRとG微粒子を、変異体はRとB微粒子を架橋できることになる。2つの三色微粒子混合分散溶液にそれぞれ野生型と変異体p53を添加し、その後の凝集挙動を同様に観察した。その結果、二色系ほどのはっきりとした差ではなかったものの、野生型添加系では全体に黄色味(R+G=Y)がかった凝集体が、変異型添加系ではマゼンダ(R+B=M)を帯びた凝集体が主に生じていることがわかった。
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