平成13年度に得られた研究成果を以下に要約する。 1.1枚の水晶基板上に、直径を5mmから2mmへと微小化した振動子電極を4個配列したマルチチャンネル水晶振動子(MQCM)の試作を行った。さらに、各チャンネル間の干渉の有無を調べた結果、試作した4チャンネルMQCM上の微小振動子電極が、溶液中においても独立した検出素子(センサー)として機能することを確認した。今後は、各振動子を同時に安定に作動させるための発振回路の開発が必要である。 2.MQCMシステムに基づいた多成分同時測定を可能にするために、MQCM上の各振動子電極に選択性を付与する必要がある。4チャンネルMQCM上の1つの振動子電極に抗ヒト血清アルブミンモノクローナル抗体(anti-HAS)を別の1つの電極表面に抗牛血清アルブミンモノクローナル抗体(anti-BSA)を固定化し、HASおよびBSAを含む溶液中で、それぞれの抗原の同時測定を試みた。その結果、1000ppm程度の抗原を独立に定量することができた。今後検出感度を高めるために、サンドイッチ型検出スキームや磁気微粒子を用いた検出法の適用について検討を行う必要があると考えられた。 3.多成分同時測定の検出感度を高めるために、電気化学発光システムの研究も行った。Ru(bpy)_3^<2+>やポルフィリンなどを電気化学発光性プローブとして用い、その発光強度に影響を及ぼす因子(溶液pH、発光補助物質、第三成分等)について検討を行い、生体物質検出を行う上で最大の発光強度が得られる測定条件を確立した。
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